・映画の要約
ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りは、世界的テーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を原作とした2023年公開のファンタジー映画である。本作は、原作ゲームの膨大な設定や世界観を背景に持ちながらも、熱心なファンだけに向けた内輪向け作品にはならず、裏切りと友情、失敗と再起を描く冒険譚として丁寧に構築されている。
主人公は、盗賊であり吟遊詩人でもあるエドガン。彼は仲間と共にある目的を果たそうとするが、裏切りによってすべてを失う。そこから始まるのは、世界を救う英雄の物語ではなく、不器用でどこか情けないアウトローたちが、自分なりの誇りを取り戻そうとする物語だ。本作は、壮大なファンタジー世界を舞台にしながらも、語り口は驚くほど人間的で、軽やかなユーモアに満ちている。
・映画の時間
上映時間は 134分。
・ネタバレ(起承転結)
起:裏切られた冒険者
盗賊エドガンと戦士ホルガは、過去の罪を悔い改めながら、娘キラを育てていた。かつて信頼していた仲間フォージの裏切りによって投獄された二人は、出所後、娘と再会するため行動を開始する。しかしフォージは権力者として街を支配しており、エドガンたちは再び無法者として追われる立場に置かれる。
承:寄せ集めの仲間たち
エドガンは目的を果たすため、魔法使いサイモン、変身能力を持つドルイドのドリック、そして戦士ホルガと共に新たな一団を結成する。彼らは決して完璧な英雄ではなく、失敗を重ね、作戦は何度も破綻する。それでも互いを見捨てず、少しずつ信頼関係を築いていく。その過程で、世界を脅かす強大な魔術と陰謀の存在が明らかになっていく。
転:誇りを取り戻す選択
フォージの背後には、邪悪な魔術師の存在があり、街全体が破滅の危機にさらされる。エドガンは復讐や金銭ではなく、娘と仲間、そして街を守るために戦うことを選ぶ。圧倒的な力の差を前に、知恵と連携で立ち向かう彼らの姿は、従来の英雄像とは異なる輝きを放つ。
結:英雄ではなく仲間として
最終決戦の末、陰謀は阻止され、街は救われる。エドガンは英雄として称えられるが、彼自身は権力や名声を望まない。彼が得たのは、失われていた娘との絆と、仲間たちとの確かな信頼だった。物語は、彼らが新たな冒険へ向かう余韻を残して幕を閉じる。
・この映画と似ている映画
- ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
欠点だらけのアウトローたちが仲間になる冒険譚。 - プリンセス・ブライド・ストーリー
ファンタジーとユーモア、冒険心が融合した作品。 - ロード・オブ・ザ・リング
異なる種族と役割が協力して困難に立ち向かう構造が共通する。
・この映画を見れるサービス
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・総評
『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』は、原作の知識がなくても純粋に楽しめる、非常にバランスの取れたファンタジー映画である。最大の魅力は、世界を救う英雄譚でありながら、登場人物たちが一貫して「不完全」である点にある。彼らは剣も魔法も使うが、万能ではない。むしろ失敗が多く、計画は破綻し、感情に振り回される。その姿が、人間味として観客に強く伝わってくる。
特に主人公エドガンは、従来のファンタジー映画の英雄像から大きく外れている。彼は剣豪でも大魔導士でもなく、言葉と機転で場を切り抜けるタイプの人物だ。その軽妙な語り口と、父としての不器用な愛情が、物語全体に温度を与えている。ホルガとの関係性も単なる戦友を超えた家族的な絆として描かれ、観る者の感情に自然と訴えかけてくる。
また、本作のユーモアは過剰にならず、物語の緊張を損なわない形で機能している。笑いはキャラクターの性格から生まれ、世界観を壊さない。そのため、コメディとして消費されることなく、しっかりとした冒険譚として成立している。
一方で、物語展開自体は王道で、驚天動地のどんでん返しがあるわけではない。しかしそれは欠点ではなく、むしろ安心感として作用する。ファンタジーというジャンルが本来持っている「物語を楽しむ」喜びを、正攻法で提示しているからだ。
総じて本作は、原作ファンへの敬意と、初見の観客への配慮を両立させた稀有な成功例である。派手さだけに頼らず、人間関係と誇りの物語として丁寧に作られた一本だ。ファンタジー映画に久しぶりに触れる人にも、自信を持って薦められる作品である。
・スタッフキャスト
監督:ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー
出演
エドガン:クリス・パイン
ホルガ:ミシェル・ロドリゲス
サイモン:ジャスティス・スミス
ドリック:ソフィア・リリス
フォージ:ヒュー・グラント